5月最初の新月の夜に、西表島から「エシカルな旅」のコラムをお届けします。
(2022年5月1日19:30〜配信スタート)
西表島への旅は、いろいろな意味で「覚悟」が必要だ。
どこの町からアクセスするにしても、まず、石垣島にある「南ぬ島 石垣空港」を目指すことになる。
石垣空港へのフライトは、東京から直行便で約3時間、関西空港からは約2時間30分。
自宅からの移動時間を考えるとこれだけでも十分な「旅」なのだが、西表島への道のりは、まだまだ半ば。
バスかタクシーで「石垣港 離島ターミナル」へ向かい、そこから小1時間(こいちじかん)ほど船に揺られてようやく西表島にたどり着く。
私の住んでいる沖縄本島の那覇からでも、乗り継ぎ時間を入れたら約半日。
朝早く起きて「電車」に乗り、「飛行機」で空を飛んで、荷物を抱えて「車」そして「船」と、都合4つの乗り物を乗り継ぎながら日本南西端を目指す旅は、単なる移動とはいえ地味にハードだ。
特に、西表島にわたる唯一の手段である「船」の揺れには、ときどき大いに泣かされる。
北風が強い日に、木の葉のように波とうねりに翻弄された時には「もう二度と乗りたくない」と心底思うのだが、帰る時にはそんなことなどもうすっかり忘れて、次回の計画を立てていたりする。
西表島への旅は、実は、石垣島からの日帰りが多い。
けれど、長旅の末に辿り着いた西表島に、わずかな滞在だけで帰るのは、あまりにももったいない。
他のどの島とも違う空気の濃さも、あの素晴らしい夕焼けも、星空も。
日帰り旅では味わえない、覚悟を決めた人だけが受けとれるご褒美なのだから。
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